【手作り化粧水】銅の蒸留器でローズマリーを蒸留|ルーマニアの台所から受け継いだ「自然のままの美容法」

手作りのローズマリー&ローズの化粧水。ハーブとバラの香りに包まれて🌹🌿
ご家庭でハーブから化粧水を手作りしてみたい方へ。今回は、銅製の蒸気蒸留器(アランビック)を使って、テラスで育てたローズマリーから化粧水(芳香蒸留水)を作った記録です。道具の歴史、ハーブの効果、そして私がこの暮らしにたどり着いた、ルーマニアの田舎での子ども時代のお話まで。ゆっくりお茶でも飲みながら読んでいただけたら嬉しいです。
🌿 ルーマニアの田舎で育った私の原点 ―「捨てるものは、ほとんどない」
私の話は、まず子どもの頃にさかのぼります。
私が生まれ育ったルーマニアの田舎では、「捨てるもの」がほとんどありません。今でもそうなんです。田舎の家には、必ずと言っていいほど“あるもの”があって、家族みんなが当たり前のように、最後の最後まで物を使い切ります。すべてをリサイクルする――それが、特別なことでもなんでもなく、ごく普通の暮らしでした。
うちはぶどう畑をいくつか持っていて、ワインも毎年自家製。多い年は、家族で一年に1トン近くものワインを仕込んでいました。秋になると、家じゅうがぶどうの香りに包まれて、収穫からワイン作りまで、子どもの私も小さい頃から全部お手伝い。これがまあ、本当に大変だったんです。
ワイン作りでいちばん忘れられないのが、ぶどうを足で踏む作業。ぶどうのポリフェノールがとても強くて、足だけじゃなく体じゅうがかゆくなってくる。それでも、やらなくちゃいけない。大人も子どもも総出で、多いときは10人くらいで一緒に作業をしました。にぎやかで、ちょっと修行みたいで(笑)、でも今思えば、家族や近所の人と肩を並べた、あの時間そのものが宝物でした。
🔥 大きな蒸留器の隣で過ごした、忘れられない子ども時代
そして、ルーマニアの田舎の家にもう一つ必ずあったのが――大きな蒸留器です。
ワインを搾ったあとに残る「ぶどうのクズ」も、もちろん捨てません。それを使って、ルーマニアの伝統的なお酒を作るんです。家庭用とはいえ、300〜400リットルほどもある大きな蒸留器を各家庭が持っていて、ぶどうのクズはもちろん、りんごやプラム(すもも)など、その年に採れた果物を蒸留して、香り高い蒸留酒に変えていきます。これは、ご先祖さまの代から受け継がれてきた、由緒ある伝統です。
蒸留の日は、朝から火を焚いて、とにかく暑い。汗だくになりながら、何時間も蒸留器のそばに付きっきり。子どもながらに「大変だなあ」と思っていました。
でも――この“付きっきり”の時間こそが、子どもにとっては最高の遊び場でもあったんです。
- 🌽 蒸留器の火のそばで、とうもろこしを焼いてかじる
- 🌰 火の中に栗を入れて、ポンッ!と勢いよく飛び出して、あわてて逃げる(たまに当たって、ちょっとケガもしました…笑)
- 📖 そして時には、その火のそばで学校の宿題までやっていました
今振り返ると、なんとも懐かしい。煙の匂い、はじける栗の音、家族の笑い声。楽しいことばかりじゃなかったし、正直「もう勘弁してほしい」と思った日もありました。それでも、あの蒸留器の隣で過ごした時間が、私という人間を作ってくれたんだなあと、しみじみ感じます。
こうしていろんな知識が、知らず知らずのうちに頭と体に染み込んでいきました。大人になっても、これがなかなか抜けないものですね。おかげで、自分たちの手でほとんどのものを作れるようになりました。手作りバター、生ハム、自家製ソーセージ、発酵食品……数えきれないほどのものを、家族みんなで作ってきました。
「いいものは、自分の手で、自然のままに作る」――この感覚が、今の私のものづくりの、ぜんぶの原点になっています。
日本のテラスで、私らしい暮らしを ― 今回作ったのは「手作り化粧水」
そんな私が、今この日本で挑戦しているのが、ハーブを使った手作り化粧水です。
できるだけ自然なものを、自分の肌につけたい。だから、自分のテラスで大切に育てたハーブを使って、余計なものの入っていない化粧水を作ることにしました。
次回はバラの花びらを使ってみたいと思っています。そのあとは、ミントやラベンダーなど、季節ごとにいろいろなハーブで試していく予定です。これからの楽しみが、どんどん増えていきます。
⚗️ この道具の正体 ―「アランビック蒸留器」とは?
「これ、いったい何の機械なの?」と思われた方も多いはず。ここで、今回使った道具について少しだけ詳しくご紹介させてください。
この美しい銅の道具は、「アランビック(Alambic / Alembic)」と呼ばれる、伝統的な銅製の蒸留器です。水蒸気蒸留という原理を使って、植物の香り成分を取り出し、精油(エッセンシャルオイル)や芳香蒸留水(フローラルウォーター/ハーブウォーター)を抽出することができます。
名前の由来をたどると、これがまた壮大なんです。
- 「アランビック」という言葉は、アラビア語で“蒸留器”を意味する
al-anbiq(アル=アンビク)が語源。さらにさかのぼると、ギリシャ語のambixにたどり着きます - 起源は古代エジプト・アレクサンドリアの錬金術にあり、銅製の蒸留器が使われていました
- やがてイスラム世界からスペイン・フランスへと伝わり、フランス語では
alambic、英語ではalembicと呼ばれるように - 香水の聖地・南フランスのグラースでは、昔の大きなアランビックが今も観光名所として残っています
- 面白いことに、日本にも江戸時代に伝わっていて、「ランビキ(羅牟比岐)」という名前で使われていたそうです
つまりこの道具は、何千年もの歴史を旅してきた“香りの魔法の道具”。子どもの頃に隣で過ごしたあの大きな蒸留器と、形こそ違えど、原理はまったく同じ。そう思うと、なんだか胸が熱くなります。
📖 もっと詳しく知りたい方へ(外部リンク)
蒸留器の名前と歴史については、こちらをご覧ください。
・アランビック – Wikipedia
🌱 今回の主役・ローズマリー ―「若返りのハーブ」と呼ばれる理由
ローズマリーは、地中海生まれのシソ科のハーブ。針のような細い葉と、すっきりと力強い香りが特徴です。実はこのハーブ、古くから「若返りのハーブ」として、ヨーロッパで大切にされてきました。
その背景には、こんな素敵な伝説があります。
14世紀、70代だったハンガリーの王妃が、ローズマリーなどのハーブを漬け込んだ化粧水(チンキ)を肌に塗り、飲んでいたところ、衰えていた容姿がみるみる若返り、なんと20代のポーランド王子からプロポーズされた――。この化粧水は、今も「ハンガリーウォーター(若返りの水)」として語り継がれています。
まさに今回作った化粧水は、この伝説の“元祖手作りコスメ”の系譜にあるもの。なんともロマンがありますよね。
ローズマリーには、こんな働きがあると言われています。
- ✨ 抗酸化作用:ロスマリン酸やカルノシン酸などのポリフェノールを含み、エイジングケアの心強い味方として知られています
- 💧 収れん作用:肌や毛穴をきゅっと引き締める働きがあると言われ、スキンケアに親しまれてきました
- 🩷 血行促進作用:めぐりをサポートし、疲れや冷えを感じるときにも愛用されています
- 💇♀️ ヘアケア:血行を促す働きから、抜け毛予防や白髪対策など、髪・頭皮のお手入れにも使われてきました
- 🌬️ リフレッシュ効果:清涼感のある香りは、集中したいときや気持ちを切り替えたいときにぴったり
📖 ハーブの効果をもっと詳しく
・ローズマリーの効果・効能と使い方|養命酒製造
・ハーブ辞典:ローズマリー|ネイチャーズウェイ
⚠️ やさしい注意書き:ハーブはお薬ではありません。植物療法はあくまで日々の健康管理やリラックスのためのもの。手作りした化粧水を肌につける際は、必ず腕の内側などでパッチテストをしてから、少量ずつお試しください。お肌に合わないときは使用を中止し、心配なときは医療機関にご相談くださいね。
💧 実際に蒸留してみました ― 香りに包まれる、しあわせな時間
それでは、実際の蒸留の様子をご紹介します。

ガラスの筒にローズマリーをたっぷり。いざ、蒸留スタート!🔥
作り方は、とてもシンプルです。
- 銅のポットに水を入れ、テラスで摘んだたっぷりのローズマリーをガラスの筒の中にセット
- 玉ねぎ型のフタと冷却部を組み立て、火にかける
- 水が沸騰して蒸気が立ちのぼり、ローズマリーの香り成分を抱きしめながら上へ
- 蒸気が冷却部を通って冷やされ、再び液体に戻る
- 細い管の先から、一滴、また一滴と、香り高い化粧水(芳香蒸留水)が落ちてくる

蒸気が立ちのぼって、部屋じゅうローズマリーのいい香り…!
部屋じゅうに広がる、できたてのローズマリーの香り。これがもう、言葉にできないほど贅沢なんです。すでに完成した化粧水を買うのではなく、作っている“あいだ”の時間そのものを楽しめる――これこそ、手作りのいちばんの醍醐味だと思います。

一滴、また一滴。とろけるような、しあわせな時間です💧
そして、ここで一つおすすめしたい楽しみ方が、蒸気のスチーム美容。蒸留中に立ちのぼる湯気を、頭からタオルをかぶせてじっくり顔に浴びると、まるでハーブのフェイシャルサロンのよう。香りに包まれながら、肌も心もほぐれていきます。

できあがり!世界にひとつだけの、わたしの化粧水🌹
こうして、テラスのローズマリーが、世界に一つだけの、自然のままの化粧水に生まれ変わりました。
🌹 これからの予定 ― バラ・ミント・ラベンダーも
今回はローズマリーでしたが、これからもいろいろなハーブで挑戦していきます。
- 🌹 次回:バラの花びら ― 華やかな香りの“ローズウォーター”に
- 🌿 ミント ― 夏にうれしい、ひんやり清涼感のある化粧水に
- 💜 ラベンダー ― 寝る前のリラックスタイムにぴったりの香りに
季節のハーブを、季節の手仕事で。少しずつ、自分の暮らしを“自然のまま”に整えていく時間が、何より愛おしいんです。
🪴 土にふれることは、心の薬 ― 家庭菜園とメンタルケア
ここで、もう一つお伝えしたいことがあります。それは、自分で植物を育て、土にふれることが、心と体にもたらしてくれる驚くほどの効果です。
ハーブを「買ってくる」のではなく、「自分のテラスで育てる」。この一手間にこそ、大きな意味があります。
- 🧠 ストレス軽減・気分の改善:週に数回、20〜30分ほどの園芸でも、ストレスがやわらぎ、気分が前向きになると言われています
- 🌱 セロトニンの活性化:土の中の微生物が、心を安定させ気分を明るくする“幸せホルモン”セロトニンの分泌に関わっている、という研究もあります
- 🛡️ 土とのふれあいで整う:土壌に住む細菌が、ストレス耐性や免疫の調整に役立つ可能性が報告されています(「抗ストレスの妙薬は土にある」とも)
- 🎯 達成感と五感の回復:種をまき、水をやり、育っていく様子を見守る。その小さな達成感と、葉にふれ、香りをかぐ五感の時間が、疲れた心を回復させてくれます
つまり、ハーブを育てて、収穫して、蒸留する――この一連の流れそのものが、最高のリラックスであり、ストレス解消であり、メンタルケアなんです。さらに、ローズマリーのようなハーブにふれること自体にも、それぞれの香りと効能があります。「肌のため」「髪のため」「心のため」――どの理由でも、ぜひ一度、植物と土にふれる暮らしを試してみてほしいなと思います。
📖 土いじりと健康の関係(外部リンク)
・土いじりで癒やされる 菜園で目覚める“野生の本能”|日本経済新聞
📋 材料・分量・所要時間まとめ(レシピカード)
「結局、何をどれくらい用意すればいいの?」という方へ。今回作った手作りローズマリー化粧水(芳香蒸留水)の目安をまとめました。
🌿 手作りローズマリー化粧水(芳香蒸留水)
| 材料 | 水(精製水がおすすめ)約500ml / フレッシュなローズマリー ひとつかみ(2〜3枝・20〜30gが目安) |
|---|---|
| 道具 | 銅製の蒸気蒸留器(アランビック)/ 加熱用コンロ / 煮沸消毒した遮光ビン |
| 所要時間 | 準備5〜10分+蒸留 約30〜60分 |
| できあがり量 | 約100〜200ml(芳香蒸留水) |
| 保存の目安 | 冷蔵庫で約1〜2週間(防腐剤不使用のため早めに使い切るのがおすすめ) |
※分量はあくまで目安です。ハーブの量を増やすほど香りが濃くなります。お好みで調整してください。
❓ よくある質問(FAQ)
Q. 手作りローズマリー化粧水の日持ち(保存期間)はどのくらい?
市販の化粧水と違い、手作りの芳香蒸留水には防腐剤が入っていません。冷蔵庫で保存し、約1〜2週間を目安に早めに使い切るのがおすすめです。香りや色、とろみに変化を感じたら使用を控えてください。
Q. 保存方法のコツは?
煮沸消毒した清潔な遮光ビンに入れ、冷蔵庫で直射日光を避けて保管します。手の雑菌が入らないよう、スプレータイプの容器にすると清潔に使えて便利です。
Q. 蒸留器がなくても化粧水は作れますか?
はい、濃いめに淹れたローズマリーのハーブティーを冷ますだけでも、簡易的な化粧水として楽しめます。ただし蒸気蒸留で取り出す「芳香蒸留水」とは別物で、香りの繊細さや日持ちは異なります。蒸留器を使うと、雑味のない澄んだ香りの化粧水に仕上がります。
Q. 敏感肌でも使えますか?
ハーブはお薬ではなく、お肌との相性には個人差があります。必ず腕の内側などでパッチテストをしてから、少量ずつお試しください。赤みやかゆみなど合わないサインが出たら、すぐに使用を中止してくださいね。心配なときは医療機関にご相談ください。
Q. ローズマリーのほかにおすすめのハーブは?
これから試していく予定なのが、華やかな香りのバラ(ローズウォーター)、清涼感のあるミント、リラックスにぴったりのラベンダーです。季節のハーブで、香りの違いを楽しむのもおすすめです。
🏡 「自然のままの、心地よい暮らし」をお手伝いします ― ルーマニ屋について
私がこうして、化粧水も、お料理も、発酵食品も、できるだけ自分の手で、本格的に、自然のままに作るのには理由があります。それは、「丁寧な暮らしそのものが、人を豊かにしてくれる」と、心から信じているからです。
私が営むルーマニ屋(ルマニヤ)では、東京・五反田/目黒エリアを中心に、ご家庭の暮らしを丸ごと支える上質なサービスをご提供しています。
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- 🌿 暮らしを豊かにするひと工夫:私自身の“手作りの暮らし”の感覚を、皆さまのお宅にも
「自分の時間を、もっと大切なことに使いたい」「丁寧な暮らしに憧れるけれど、忙しくて手が回らない」――そんな方を、私たちが心を込めてサポートします。
🔗 詳しくはこちらをご覧ください(内部リンク)
・ご利用の流れと料金
・家庭サポートサービス
🎥 蒸留の様子は、動画でもご覧いただけます
銅の蒸留器から、ローズマリーの化粧水が一滴ずつ生まれていく様子は、ぜひ動画で。香りまで届けられないのが残念なくらい、うっとりする時間です。
ルーマニアの田舎の、大きな蒸留器の隣で過ごした子ども時代から、東京のテラスでローズマリーを蒸留する今へ。形は変わっても、「自然のものを、最後まで大切に、自分の手で」という想いは、何も変わっていません。
皆さまの暮らしにも、ほんの少し、手作りの香りと、土にふれる時間が増えますように。最後までお読みいただき、ありがとうございました。🌿


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